2005-06-12 日
裸の清掃士
大雑把なO型ゆえ、とても綺麗好きとは言えないが、さすがに汚ギャルのような生活はできない。めんどうではあるが、ちょっと見、汚くはない程度に掃除することはする。リビングは掃除機をかけてクイックルワイパーで床をなでる。カーペット敷きの寝室は掃除機を「強」にして一回りした後、コロコロで抜け毛や塵を取り除く。20分もあれば一丁あがりである。
お次は窓。ガラス拭き用スプレーや、お知恵拝借番組でよく出てくる新聞紙「インキがちょうど良い塩梅です」ってのも試みたが、私のお勧めはワイパー式拭き取り法だ。市販のスプレーで、窓ガラスに○や×を描いたり字を書いたりしながら汚れを拭き取るのは楽しいし出来上がりはピカピカになる。しかし、私のような粗忽者は開けてあると気づかずベランダから窓ガラスに向けているつもりでスプレーを吹きかけ、ベッドを濡らしてしまうということもやっちゃうんだな、これが。だって「窓ガラスがあるかどうか確かめてから噴霧して下さい」とは書いてないんだもん。新聞紙にいたっては自分の手ばかり真っ黒になって肝心のガラスの方は???
さてワイパー式だが、街で見上げるとゴンドラや、中にはブランコのような形態で高いビルの窓を外から拭いている人たちを見かけることがある。高所恐怖症には無理・無理だが、煙とナントカは高いところが好きだもので、大いに興味をそそられる。そしてリズミカルなあの技はどうよ。♪チムチムリンチムチムリンの煙突掃除屋さんよりも、ずっと楽しそうだ。是非ともあの技を真似てみたいと思っていた矢先に、大井町は丸井内にあるダイソーで、あのゴムベラのついたT字型の器具を目にした。ゴムの長さは20センチ強と、やや小ぶりではあるが本職ではないのだからこの程度でガマン。ダイソーのレジで「お幾らですか?」って喜色満面でたずねたら「税込み105円です」ってシラーッと答えられてしまった。この105円が、なかなか使い勝手が良い。バケツに水と雑巾を入れて、いざベランダへ。バケツの中から、びしょびしょのままの雑巾を引っ張り出し、そのまま窓ガラスをなぞる。水がしたたる窓ガラスの上から下へT字のゴムつきヘラをツツツと引き下ろす。これを端から端へと続けるとあぁら不思議、あなたの窓ガラスはピカピカよ。びしょびしょの雑巾でなぞる時は、服の袖に水が入り込まないように注意しないと大変だが、それ以外は鼻歌気分でアッと言う間に、面倒な窓掃除が終わってしまうという寸法だ。ただ、これ内側からやったら、あなたのお部屋はさぁびしょびしょよ、ですからね。
次は、お風呂場と行きましょう。数年前まで賃貸で住んでいたワンルーム・マンションの浴室はトイレと一緒の、それはそれは狭いユニットバス、洗い場などないやつだった。慣れてしまえば洋画のヒロインよろしく、泡風呂に優雅に体を浸していたものだが、入居当初から備え付けの鏡の枠も錆び、壁もカビが目立っていたのが哀しかった。だから、自分の持ち家であるところの、今のマンションの浴室は絶対にカビさせたくはない。もちろん浴室の鏡の枠が錆びるのももっての外だ。
テレビなどで聞く“識者”や、知り合いの話を総合すると浴室を濡らしたままにしているのがいけないとの結論にいたる。それならと、お湯は上がったら即抜いて鏡をはじめ壁、床、届く範囲の所は全部拭き、直ぐに換気をする。さすがに、お湯は母の「何かの時のために湯船には、お湯を張ったままにしておきなさい。細木数子も言ってるよ」のお言葉に、即抜くことは止めたが水気を拭くのと換気は続けている。
しかし、暫くして足元の排水溝に渡してある、簀状の3枚の板を裏返して見た時にはゾッとした。汚かったねぇ。それからは定期的に簀掃除。ある時思いました。排水溝の上に簀は要らないと。そして簀破棄。これで簀が無くなった溝を洗い流せば綺麗、綺麗。ン、排気口の上の「髪の毛まとめてポイ」、これも貼り付ける糊状の物が気にかかる。これもポイ。それからは洗髪したら、その場で髪の毛まとめてポイ。とにかく、何かあればそれが汚れの元になるのだから要らないものは排除です。シンプル・イズ・ベスト。シンプル・イズ・ビューティフル(みんなカタカナなのがスゴイ)。そんな目で見ていると、外せそうな所がありました。浴槽の下にも秘密の(?)排水溝があり、どうもその蓋にあたる部分のようだ。その蓋を開けて驚いた。正に私はパンドラの箱の蓋を開けてしまったのだ。出るわ、出るわヘドロ化した湯垢。シャワーで浴槽の下に水を送りこんでみたが、そんな程度では歯が立たない。洗面器に水をため、力任せに浴槽の底に向けて水をぶっつける。ドロ・ドロ・ドロ・ドロと、こびりついていた湯垢が浴槽の裏側から剥がれて流れ出てくる。「となりのトトロ」で真っ黒くろすけがコロコロ出てきたような様相で、なかなか治まらない。奮闘すること30分、もう腰がもちません腕が震えてますという頃になって、やっとこ真っ黒くろすけのいない水が返ってくるようになった。それ以来入浴の度に、湯船のお湯を洗面器に入れて力任せにぶち込んでいる。
それでも床や壁には湯垢やカビが忍び寄って来る。今の一番の強い見方はカビキラー。気になるところに吹き付けて数分後、水で流せばアッと言う間にカビが、湯垢が消えてしまう。なぁんだ、最初からこれを使えば良かったんじゃん。でもね、人生幾山川を乗り越えて桃源郷にたどりつき、その有り難味が分かるのよ。ナンテネ。
今夜もまた、何か捨て去れる物は無いかと湯船で瞑想(?)する“裸のマヤ”ならぬ“裸の清掃婦”がいるのだった。もしかして今の時代は清掃士と言わなきゃいけないのかな。