2005-07-03 日
ついてない
雨の降る日は天気が悪い。悪いはずだよ雨が降る。
ついてない日というのはあるものだ。雨の降った水曜日、駅に向かいながら「アッ、携帯忘れた」と気づいた。もちろん、この場合の携帯は携帯電話だ。今は携帯=電話よね。
気づいても天守閣まで取りに戻る時間は無い。(こういう日に限って何か入りそう)とは思うものの、とりあえずは出社です。今日はホームの人影もまばらだと思っていたら電車も空いていて、最初の駅から座ることができた。こんな日もあるんだなぁ、なんて小さな幸せを感じたとたん、目の前にどこから見ても立派なおばあさん登場。選りにもよって私の前に立たなくても。若く見えているでしょうが、私も意外と年齢いってるんですけどぉ。軽いとはいえ椎間板ヘルニアですし、頚椎も5番と6番が少々ずれてると、つい先日のレントゲンで判明したばかりなんですけどぉ、と言いたい気持ちをおさえてシブシブ席を譲る。ここで譲らなかったら人非人の誹りを受けかねない。「すみませんねぇ」とは言ってくれたものの、立派なおばあさんはちょっともすまなそうな素振りではない。「当たり前よぉ、いい若い者が座っているんじゃない」と、その目が言っている。この場合の“いい若い者”とは、決してgoodという意味ではないけれど。
空いていた車内も一駅ごとに混み合ってくる。乗客が濡れた傘をもてあまし気味になっている時にカーブの揺れで、すぐ横に立っていたOLの傘が思いっきり私のパンツにくっついてきた。パンツと言っても下着ではないですよ。ズボンよズボン。今はスラックスともズボンとも言わないの。発音はpaとnとtuが平坦で、お腹やおならと同じ。そのパンツに、擬音で表すならベッチャーあるいはグッチョーという感じでずぶ濡れの傘が。悲しくなる状況です。OLさんも、目の前に座っているおばあさんよりは、はるかに心をこめて謝ってくれてはいるけれど、この“濡れ衣を着た”気持ちというものは、いやはや何と表せばよいのやら。その上、いくつかの乗り換え駅に着く度に、横の席は変わるのに目の前のおばあさんだけは結局、私が降りる駅まで降りてはくれなかった。あのまま座っていれば傘を押し付けられることも無かっただろうに。
出社してからも、ついてない日はついてない。1日のメインイベントであるランチ時も、雨ゆえ食券を買うにも自販機の前は長い列。陳列されているおかずを見て、今日は“豚肉の竜田揚げ・きのこあんかけ”と“まぐろのヌタ”と心に決めた。しかし、これまた長い列に並んだ先の配膳で渡されたのは“まぐろの照り焼き”と“まぐろのヌタ”だった。ああ私としたことが、食券のAとBを押し間違えていたのだ。空いている時なら「間違えましたぁ」と言えば、配膳のお姉さんもにこやかに取り替えてくれるけど、これだけ並んでいると殺気と梅雨時の湿気がムンムン。言えない言えない、今日は言えない。泣く泣く、まぐろづくしのランチを食べることになる。ああ、お腹はすっかり豚肉モードになってたのに。
午後は、ひたすらおとなしく時間が過ぎるのを待つことにする。こんな日は慣れないことをやってはいけない。電話を取ったってろくな電話であるはずがない。でも、鳴ってる電話は出なくばなるまい。だれも取らなきゃ取らねばなるまい。「お待たせ致しました」と、言うが早いかドデカイ声が叫んでいる。「携帯にいっくらかけても繋がらないじゃないのよぉ」。母だぁ。やっぱりろくな電話ではなかった。「おまえの、保険が切れるらしいのよ。山口さんから煩く電話があってさぁ」。山口さんとは、母の昔からの知り合いである保険のおばさんだ。「これから先、どのくらい勤めてられんのか、積み立てられんのか……」。そ、そんな話、職場にかけてこないで下さい。年とともに耳が遠くなっている母の声は会社中に響き渡っているのではないかと思うくらいに大きく、答えにも窮する。ああ、やっぱり携帯を忘れた日に限ってこうなるのよねぇ。もう今日は、定時になったら♪七つの子のように、お家にとっとと帰りましょう。帰ったら、録画しておいたドラマを見ながら、今日の悪しき日が過ぎてくれるのを待ちましょう。
ところがどうよ、ビデオを再生してみたら現れたのは高尚なオペラ。どうやら4chのつもりで、お隣の3chを指定していたらしい。何万もする舞台を嬉々として見に、いや観賞に行かれる方々と、悲しいかな私は違う。オペラのオの字も分かりはしない。せめて民放の番組に間違えていたのなら愉快に笑って見られたろうに。それでも、いつもなら何本かテレビ番組を録画したものがあるはずなのだが、どうやらそれも昨日の時点で見終わっているらしい。こんな夜はお風呂に入って、さっさと寝るぞと湯船の蓋を取って唖然。湯船の栓が緩んでいたらしく、お湯が殆ど残っていない。CMのオダギリジョーじゃないけれど「どうすんのよワタシ」。湯船にお湯を張りなおす気力も残っていない。今夜はシャワーでおしまい。
もうったらもう、なんだったのだ今日という日は。寝てしまえば、いまいましい今日は終わる。ふとんをかぶって思いっきりベッドに倒れこんだ。ご想像下さい、イヤというほどベッドのヘッドボードに頭をぶっつけたこのワタシを。ついてないったらついてない! もう寝る!!