けいこです。エクセルが使えません。Xのマークを見ると、季節はずれのクリスマスかと思ってしまうとです。って今人気のピン芸人、ヒロシになってしまった。

職場にワード・プロセッサーなるものが導入された時も、後輩達がブラインド・タッチとか言って、キーも見ないで文章をバリバリ入力しているのを横目に、五月雨のようにポトリ・ポトリと一文字一文字探しては打っていたものだった。その時も(ああ、こんなものが出来る前にトットト、結婚して専業主婦に納まっていれば、こんな苦労はせなんだものを)と、わが身を呪った。そして今度はパーソナル・コンピューターだ。ワードは、ワープロを泣きながら覚えたおかげでどうにか使えるし、ミミズがのたうちまわっているような悪筆の私にはありがたい存在だ。メールも同様の理由で私には強い味方になっている。ところがエクセルとなるとさぁ大変。ただでさえ数字は一桁の暗算だってあやしいのだから、数式なんて考えただけで蕁麻疹が出そうだ。関数なんてなんのことやら。数なんて言っていながら「今日の日付」を設定するのも関数なんだそうだ。蕁麻疹から帯状疱疹にまで症状が進んでしまいそうだ。

ところが、今時のOLさんたちは「女性は機械に弱い」なんて言葉は死語になったかと思うくらいに進化している。絵美ちゃんもリカコも、いとも簡単に表でもグラフでも作ってみせる。リカコなんて派遣会社での試験を、お試し程度に受けてみたら、エクセルで満点を取ったというから半端じゃない。それに二人は共通して教え方も上手い。私のような、純粋培養のアナログ人間にでも理解できるように噛み砕き、時には図まで使って教えてくれる。しかし、自分が分かっていれば全世界の皆々さまが分かっているはずと思んでいるお姉さん方もかなりいる。

困ったことに、今の私の仕事の前任者がそういう類のお姉さんなのだ。元々、システム関連の職場に長くいた人なので、パソコンを使いこなせない人なんて、全くもって彼女の頭の中には存在しない。だから、エクセルが分からないと言ったら「また、冗談言ってる」くらいにしか思わないらしい。思い切って「ここの部分が、どうやったらいいのか分からないんだけど」と、かなり具体的に言ってみたのだが「大丈夫ですよぉ、こんなの簡単ですよぉ」って。「ここが○△ですから、この○△を☆にしてぇ」。ウーム、とうとう☆まで出てきてしまったかぁ。

こりゃ根本的な部分で相容れないと納得し、絵美ちゃんにSOS。すると絵美ちゃん、答えて曰く「なんだって、そんなに難しくするのですかねぇ。もっと単純に作り直しちゃった方が後々、仕事し易いですよ」。「居るんですよねぇ。ちょっと使えると、やたら面倒な数式とかを入れたがる人が」。やっぱり、本当にできる人は違う。やっと我が意を得たりで、ホッと一安心。仕事は誰が代わっても分かりやすくできる方法が一番よね。ということでエクセルは初歩の初歩の私が使いこなせる段階までレベル・ダウン。そして、せっかくのチャンスであったのかもしれないが、私の進化はこの期に及んでもピタッと止まってしまうのだった。

先日、久しぶりに同級生と会った。よく旅行した仲間で、私を加えての3人組だ。1人は専業主婦、もう1人は市役所に勤務しながらの奥さん、そしてノーテンキの独り者と、三者三様。ひととおり、お互いの近況などを報告しあった後で、私が例のエクセルの話を持ち出すと、市役所が「まったく同じよ」と身を乗り出して来た。「私の前任者もパソコンおたくのような人で、書いちゃった方がよっぽど早い数字でも全部パソコン。何聞いても、そこに入ってますからでさぁ」。そこに入ってるものをうまく引っ張り出して使えりゃぁ誰も聞きゃしないと、市役所もイラつく毎日だったらしい。お互いに「分かる、分かる」と、シッカと手を握り合ったものだ。「で、どうしたの?」とたずねると「家にパソコン買ったわよ。でも勉強しようとしたけど無理。もう諦めたわ」。「私達の頭ではもう覚えられやしないわよ」。そして、彼女が取った行動は。「餌付けよぉ」。

パソコンが使いこなせて親切な“坊や”を探し出し、昼食で釣るのだそうな。「元々、パソコン好きなんだから、毎日のように美味しい昼食をご馳走すれば、喜んで私ができる所までフォーマットを作り直してくれるわよ」。凄い。逞しい。お見事。そうか、そういう手があったのねぇ。進化が難しくなった年頃のOL(OLDに非ず)は“生活の知恵”と多少の現金を上手に発揮しなくてはいけない所に来ているのだった。

進化ねぇ。起立する風太君やら、歩くデールちゃんやらとレッサーパンダがアチコチで人気だが、その辺の可愛い進化に、何事も留めておいてほしいものである。ご存知かな、最近永久歯が生えない子供が増えているんだそうな。これも人間様の進化なのかもしれないが、果たしていかがなものでしょう。