2005-07-31 日
揺れた高校野球
23日の土曜日に、高校野球大会を見に行った。もちろん、まだ甲子園ではない。神宮球場での地区予選、東東京都大会の準々々決勝だ。女子高出身の私は、高校野球を直に見たことがない。職場でトイメンに座るP氏が母校の応援に行くというので、連れて行ってもらうことにした。「きっと、この回で消えちゃうと思うんですよねぇ。相手が強いですから」。その相手というのが、なんと我が豚弟の出身校である。豚弟は可愛くないので、ここはP氏の母校を応援してやろう。
試合開始予定は午後2時だという。2時と言ったら1日で一番陽射しが強い時間帯ではありませんか。顔から首から腕、指先に至るまで、念には念を入れて日やけ止めクリームを幾重にも塗る。そして、つば広帽子をかぶり長袖のジャケットを持って約束の外苑前駅へ。
さて、球場に入ったとたんに、流れて来た応援のブラスバンドに驚いた。曲が♪まつけんサンバ なのだ。そして、次には♪暴れん坊将軍の主題曲。♪狙い撃ちこそ、途中から流れたが、高校野球と言えばよく耳にしたコンバット・マーチを、ついぞ聞くことはなかった。正に歌は世につれなのだ。
声援もベンチに入れない部員達が、よほど練習したのだろう。振り付けまでつき、お揃いのメガホンに満面の笑みで「大きな声でGO・GO・GO!!」と、応援を促すものや「お前が打たなきゃ誰が打つ?!」と、半分脅し?のようなもの、プロ野球選手並みに、選手それぞれに対するものまで賑やかだ。そんな中で、はっきり聞き取れたのが「イケ・イケ・イケメンコウスケ、かっ飛ばせ!!」というもの。残念ながら、バックネットのスクリーンには「球場内禁煙」の文字だけで、選手の顔は映しだされない。今回はイケメン・コウスケのご尊顔を拝見することはできなかったが、甲子園に出場してイケメンぶりを見せてもらいたいものだ。このイケメン・コウスケの後に出てくるのが、タモリの「空耳アワー」ではないけれど、どうしても「ケツデカ」としか聞こえない選手への声援。「イケ・イケ・ケツデカ」。何度聞いてもそうとしか聞こえないのだ。こちらも、揃って甲子園まで進んでもらえれば、その真偽を確認することができるのだが。
23日は心配していたほど気温も上がらなかった上に風もあり、爽やかな屋外球場観戦日和になった。やっぱり普段の行いの良い私のこと(天候まで味方してくれたわ)と思った矢先に、来ましたよグラッと。4時35分、7回の表。最初はユラリ。「なんか揺れたみたい?」程度。ところが、その直後にドドンと言う感じで球場全体が突き上げられるような衝撃。仰ぎ見ると、照明塔がグラリグラリと大きく揺れ続けている。円錐形の照明1つ1つが、明るい日差しを受けて輝いている様に、不謹慎ではあるが綺麗だなぁと見とれてしまった。試合も一時中断。母校が押され気味だったP氏は相手の投手が、この中断でピッチングを乱してくれることを期待したが、これを期により鋭いピッチングになっていったのだった。そして、結局7×3で豚弟の母校が圧勝。P氏が予想した通りにP氏の後輩達の夏は終わってしまった。
初めて球場で見た高校野球は、守備につくにも戻るにも全力疾走。バッターボックスに立つにも脱帽していがぐり頭を見せての礼、実に爽やかだった。選手だけでなく、控えの応援担当君達もキビキビと動き、最後にはエールの交換で幕を閉じた。どれだけ拍手をしたか分からない。さて、気分よく外苑前駅で解散・・・の、はずだったのだが。地下の改札周辺はごった返し、地上に向かう階段も携帯電話をしている人々に埋め尽くされていた。そう、地震のせいで地下鉄が動かないのだ。優秀なニッポンの鉄道網である。1時間も前に発生した地震なのだから、もう数分すれば「点検が終わりました」と言って動き出すだろうと、私はその時点で高をくくっていた。球場内で飲み物も食べ物も思う存分摂ってしまったし、混んでいるのが予測されるので店に入るのも遠慮したい。では、「一駅散歩がてら歩きましょう、着く頃には動き出してるでしょう」ということで、青山一丁目までチンタラと歩いて行った。しかし、状況は外苑前駅と全く同じ。ならばJRと、今度はJR信濃町駅を目指す。甘かった。JRも宇都宮線や高崎線は動いているものの都内中心を走っている線は全線「運転を見合わせています」だって。地下鉄の銀座線だけ動き出したというアナウンスで青山一丁目まで逆戻り。ここで、反対方向のP氏とは心細いながらも解散。途中で地下鉄が止まってしまう恐れがあるので乗車前にトイレ、トイレと探したら、こんな時ってそんなもんよね「工事中につき、改札を出て仮設トイレにお回り下さい」だって。ごった返す改札を出るのもなんだし、ここは運にまかせてガマン。渋谷まで駅3ツです。どうか止まりませんように。ところが、動くとアナウンスのあった線に乗客が殺到して、ドアがなかなか閉まらない。やっとこ動き出し終点渋谷に無事到着。ところが、JRはまだ動かない。では、時間を潰すのも兼ねて駅ビルのトイレへ行きましょう。半端じゃない列です。中には浴衣姿の若者もチラホラ。お祭りにでも行った帰りの災難でしょう。
7時1分に渋谷駅銀座線の改札を出て、やっとJR山の手線が動き出したのは7時半、地震からほぼ3時間が経過していた。それでも、やっとこギュウギュウ詰めの電車に乗って渋谷から3つ目の我が最寄駅へと帰って来ることができた。
お目当ての高校の試合を見ていたのが2時間半、そして通常片道10分乗車の所を3時間近くかけて帰って来た計算になる。「本当に本当にご苦労さまでしたワタシ」と、マンションに辿り着いた自分に言う。
しかぁし、ウソでしょ?! エレベーターに張り紙です。「地震のため、エレベーターが停止しております」。エレベーターよ、お前もか。15階までの長い道のりはまだまだつづく。