2005-08-07 日
あたる女の当たらぬ勘
牡蠣には3度あたっている。生ガキ、フライ、そしてグラタン。「1度あたったら懲りるでしょうに」と周りの人には言われるが、本星を決めるには最初に容疑者が浮かんで、2度目で絞り込み、3度目で「犯人はおまえだ!」と名探偵ばりに名指す手順が必要だ。特に3度目は酷かった。土曜に出社して、ふだんよりゆとりをもってランチを摂ったのだが、社に戻り「●?▲!■?!」とトイレに駆け込んだのが午後2時。それから5時過ぎまで席に戻ることはできなかった。あの日のことを思い出すと都内でも屈指のオイスター・バーが、ベランダから見下ろせる好立地にあっても、絶対に扉を押す気にはなれはしない。
さて、牡蠣にあたるように当たってほしい宝くじ。所ジョージが♪○○ジャンボ3億円〜 と、ご陽気に歌う声が頭の中を駆け巡る度に♪それ買いに行こ〜 と、貢献しているのだが、まったくもってかすりもしない。それだけではない。ロト6なる「6つの数字を当てて貴方も億万長者」なんていうのにも同じ目標を持つ同僚と一緒に毎週挑戦して、毎週一緒に玉砕している。同じ目的というのが「宝くじを当てて会社を辞めよう」というネガティブなものだからいけないのだろうか。
会社を辞めるというのは別として、では本当に当たったら何をしたいかという話になった時、思い浮かべること。私は「要らない服は捨てる」。もう数年も袖を通さない服がクローゼットや押入れダンスを占拠している。ところが、来年は着るかもしれない、収入が無くなった時には凌げるかもしれないなどと思っては、衣替えの度に捨てられずにいる。だから、大金が舞い込んだら、その時こそ思い切って着ない服は処分、処分。さぞ気持ちが良いことだろう。それにしてもゴージャスな服を買う、ではなくて要らない服を捨てるなんてねぇ、我ながら哀しいねぇ。同僚は「社から家までタクシーで帰る」。なんでお抱え運転手を雇うと言えないか、せめて、タクシーではなくハイヤーと言ってほしいものだ。木村拓哉のCMではないが「チッチェエ俺」に、どうしてもなってしまう小市民なのだった。
本当に宝くじって当たるのかしらと思っては、ため息をつく毎日だが、知り合いで、高額に当たった人が2人いる。1人は10万円。もう1人は20年以上も前の100万円。10万円が当たったのは実家の近くの病院長。ついつい嬉しくて話しているうちに、医師、看護士、事務員、運転手、掃除のおじちゃん、食堂のおばちゃん、そして親戚縁者へとご馳走する羽目に。気付くと10万どころか結局持ち出しの方が多かったと嘆くことしきりだった。
20年以上も前に100万円を当てたのは、叔父がやっていた精肉店の店員さん正夫さんだった。正夫さんが友達と待ち合わせ場所にいると雨が降って来た。傘も持たずに出たので濡れながら、なかなか来ない友達を待っていた。すると、そばにあった宝くじのBOXから小母さんが手招きして「ここで雨宿りしなさい」と優しく言ってくれたんだそうだ。小さなBOXのささやかに突き出た庇の下で雨宿りさせてもらった正夫さんは友達がやって来ると、小母さんにお礼の気持ちで5枚の宝くじを買った。そしてなんとその中の1枚が100万円を見事、引き当てたのだ。正夫さんは、確り貯金をして自分が独立して店を持つときの資金にしたという。これぞ情けは人のためならず、それとも雨降って地固まる?
宝くじが、あんまり当たらないものだから知人の誘いに乗って、初めて競馬に挑戦してみた。皐月賞と日本ダービー。どんな馬が走るのか、名前さえも知らないままに全くの“女の勘”で数字をあげてみた。薦めてくれた知人も「枠順も決まらないうちに番号決めちゃっていいんですかぁ」。枠順が決まってからは「新聞でも見て検討したらどうですかぁ」って呆れていたが、何を見ても分からないものは分からないのだ。でも、霊感も無い私の“女の勘”は当てにならない。ビギナーズ・ラックを期待したのだが、これが全くの大はずれ。それぞれ1000円ずつの馬券はアッという間に紙屑となってしまった。後で新聞を見てみたら皐月賞は「ディープインパクト」「シックスセンス」が1位、2位。映画好きなら当てていたかもしれないなぁ。ダービーの方も当たらない“女の勘・その2”で大はずれ。それこそ、私の勘で買ったものが当たっていたら100万馬券になっていたらしいのだが。
ダービーはテレビで観戦した。ファンファーレが鳴り、観客が予想紙を筒状にして振る中、いよいよ第72回日本ダービーは出走だ。ド素人の私でも自然と興奮してくる。レース結果は武豊が騎乗した「ディープインパクト」が無敗の2冠馬となった。買った馬券は当たらなかったが、その走りっぷりには目を見張った。やはり超本命の強い馬が、天才騎手によって勝つというのは絵になるものだ。常勝を科せられているのは相当な重圧だと思うが、その重圧を跳ね飛ばす実力。それを見せ付けられては負けても悔い無しと思える。宝くじの収益金は「公共事業等に役立てられています」と、但し書きがあるもののなかなか悔い無しと思えない。「等」という文字も気になるし、実態が見えてないものなぁ。やはりここは自分で当ててゲンナマを目の当たりにするしかないか。