2006-01-22 日
やってしまったぁ
あ〜あ、やってしまった。
愛しのPC・VAIOちゃんに、思いっきりお茶を飲ませてしまったのだ。大慌てで逆さにし、赤ん坊を授乳後ゲップさせるように、ポンポンと背中と思しき所を叩いてみた。ティッシュを隙間から入れて、お茶を吸い取ろうとも試みてもみた。けれど、電源を入れても画面は少しも明るくなってはくれない。
液体は精密機器に一番のご法度。ノート型でもあるし、独り身の気楽さでいつもリビングの丸いテーブルの上に置いてある。そこでは食事もするし、読み書きもするし、友達が来ればそのままでお喋りもする。どんな時も自然な振る舞いで、液体をこぼすなんてことは全然しなかった。むしろ、母がやって来た時など、PCの側でお茶を飲んだり、薬を飲むための水を置かれたりする度にヒヤヒヤしていたのに、この私が自分自身でお茶をこぼしてしまうとは。
思い起こせば、私はこれまでもけっこう水難の相があったのだった。友達と広尾のちょっとお洒落なオープン・レストランで食事をした時も、お喋りに夢中の友達の手がワイングラスにぶつかりそうで、思わず「危ない」と、グラスに手を添えようとした途端に、自分の目の前のグラスを肘で押し倒し、見事に割ってしまったことがある。忘年会で隣の席の人に、ビールを注いでやろうと瓶を持ち上げたと思った瞬間に、自分が飲んでいたカシス・グレープフルーツの、ちょっと背の高いお洒落なグラスが音も無く割れた。お店の人がおしぼりを大量に持って走って来てくれたのだが、どうして私のグラスが割れたのかが未だに不思議でたまらない。自分自身に、何かに触れた感覚がまったく無かったのだから。隣の人が「ビールが冷えすぎていて、グラスがそれに反応したのでしょう」と科学的なことをおっしゃって助け舟を出してくれた。お店の人は私の料理を「ガラスが入っていたら大変ですから」と、全て新しくしてくれた。一人用の鍋までも新たに持って来てくれたのだが、私の得意でないお馬さんだったので、そのまま綺麗に食べ終えていた人に廻してしまった。罰当たりと蹴飛ばされるかな。
さて私の、お茶が滴ったVAIOちゃんだが、一旦電源を落とし改めてスイッチ・オン。やはり真っ暗。そのまま知らん振りをしてテレビを見ていた。すると突然「ようこそ」という文字が浮かび上がった。「わぁ、お帰りなさいVAIOちゃん。よくぞ帰って来てくれました」。嬉しさに思わず頬ずりして「これからは大事にするからね、側では飲み物を絶対に飲まないからね」と誓った。チョット前に、頼りのリカコへ「SOS、PC壊れる」の電話をしたところだったので、経過報告と確認の意味合いを込めてメールを送信した。「ご心配をおかけしましたが、どうにか動き出しました。メール、ちゃんと届いていますか?」。
ところが、ホッとしたのもつかの間だった。その後は、検索をしようとyahooを開いても、リカコに現状を伝えようとメールを開き直しても、入力ができない。「私は作家(?)よ、文字が入力できなきゃ何にもならないじゃない」なんて脅してみたり「そうね、お茶をこぼした私が悪うございました。機嫌を直してちょうだい。よっ、シルバーが渋いねVAIOちゃん」と、すかしてみたりもしたけれど、その後キーボードは全く文字を打ってはくれなくなった。
なんで急に? どうやら、リカコに送ったメールがVAIOちゃんの命の最期の灯だったようだ。そうよね、機械音痴の私を鼓舞してビックカメラでVAIOちゃんを見立ててくれたのもリカコだった。似合うマウスパッドを揃えてくれたのもリカコだった。ウィルスバスターを導入してくれたのも、調子が悪いと行っては往診に来てくれていたのもやっぱりリカコだった。きっと義理堅い買い主(?)に似たVAIOちゃんは、自分の消えいくエネルギーを振り絞って、リカコに挨拶をしたかったのだろう。パソコンにしておくのが惜しいくらい情のあるやつだ。
翌日、一縷の望みを持ってVAIOちゃんを立ち上げる。「ようこそ」の文字はちゃんと浮かび上がるし、yahooの画面も現れるし、受信メールも入ってくるのに、やはりこちらからの入力はできない。試しにと、リカコが入れてくれた“上海"という、マージャン牌を使った神経衰弱のようなゲームを開いてみると、なんとこちらはちゃんと遊ぶことができる。どこまでもリカコに義理立てするVAIOちゃんなのだった。
修理の費用も馬鹿にならなそうだし、この際VAIOちゃん2号を、リカコにお願いして探しに行こうと思う。そして、ついでだからサーバーも変えてしまうことにしよう。こんなにサバサバと高価なパソコンの買い替えを考えられるのは、そりゃぁ私がセレブだから…なんてわけはない。実は、お茶をこぼしたあの朝、気になる占いをたまたまテレビで見ていたからなのだ。私の星座へのご託宣は「携帯などの機種を変えて心気一転致しましょう」というものだった。この時の占い師は、当たると評判の人で、画面内のタレント達も真剣に聞き入っていた。そんな空気が伝わっていたのだが、携帯を変えたら使いこなせないなぁ、と私は思っていた。しかし、どうやら私の場合は携帯などの“など"の部分にパソコンが入っていたらしい。そう思ったら、気が大きくなった。さぁさぁ新しい機種のパソコンを買って心気一転だぁ。今年も毎日が「大安吉日」気分はノーテンキだい!
とは言うものの…新年早々、痛いなぁ。今年も痛い思いをしないと懲りない女です。