2006-02-12 日
一人暮らし向きペット

帰宅拒否症ではないけれど、ドアを開けても、誰もいない真っ暗な部屋に帰るのはチト寂しい。せめて「待ってたワン」とか「待ってたニャン」と、飛んできてくれるペットが居たら随分の慰めになるだろうと思う。幸い私が住んでいるマンションは、人相書き(?)を提出すれば、中型犬くらいまでは飼うことができる。この際と思いつつ、弊社の1階にある喫茶店のマスターに言われた言葉が頭をもたげて行動に移せない。曰く「独り暮らしで、ペットを飼うようになったら終わりだぞ」。何が終わりかって、そりゃぁペットに夢中になりロマンスを求める心も消えるという意味でしょう。犬やネコが素敵な夢を咥えて来てくれるという一縷の望みが無いではないが、マスターの言ってることも真理かなぁ。意志薄弱な私は、ヒトサマに自信をもって言われた言葉には素直に従ってしまう。そして、今に至る。
でも、やっぱりペットにはそそられる。おんな子供そして動物にも、この私は果てしなくもてる。実家の斜め向かいの渡辺さんチで飼っていた、柴と何かのミックス犬のクマは、毎日のように我が家にやって来ていたし、繋がれていても鎖を引きちぎらんばかりの勢いで私の姿を見かけると飛んでこようとする。買い主もそこは心得ていて「クマちゃんはどこの家のワンコよ?!」と言いながらも鎖を放してくれる。クマという名の通り、立ち上がったら大人の背丈くらいになる焦げ茶色の塊は、私をめがけて一直線。覚悟して体勢を整えていないと、押し倒されてしまうくらいの迫力だ。雨の日や雪の日にも大喜びで飛びつかれ、コートを何度クリーニングに出したことか。それでも可愛い、やたら可愛いかった。そう、人間より寿命の短いクマちゃんは、とうに天国へ召されてしまっているのだった。
代わって実家には、やはりミックスでチョコという名の駄犬が居る。こやつも私がたまに帰ると、ものすごい勢いで家の周りを走り回り喜びを体現する。一応は豚弟がご主人様のつもりでいるのだが、その豚弟の前を通り過ぎて私の所に走ってくるものだから、形無しの豚弟は、娘達に同情の目で見られている。ほほほ、この姉に勝とうなんて百万年早くてよ。
そんな私だから、ワンちゃんでも飼った日には、どれだけ慕われてしまうことか。尾っぽなんて振って振って千切れて仕舞うかも知れない。喜びのあまり垂らす涎で、床はワックスがけされてしまうかもしれない。顔中嘗め回されて、私はスッキリ小顔になってしまうかも知れないワン。
しかし会社勤めの身としては、半日ワンちゃんを部屋で独りポッチにしなくてはならないのは辛い。広大な庭をもつお屋敷や、ルーフバルコニーのあるマンションなら飽きずに遊んでいてもくれるだろうが、幅1mほどのベランダしかないマンションではねぇ。出かける時には後ろ髪引かれまくりだろうし、ワンちゃん自身も私の姿が見えない部屋で寂しさに泣き崩れることだろう。ネットで調べてみたら「犬は、飼主から引き離されて、過度の不安やストレスにより、過剰な吠え、不適切な排泄、および破壊行動等をとることがあります。これをイヌの分離不安症といいます。この他にも、食欲不振、嘔吐、流涎、下痢、過剰な舐めによる皮膚炎、肉芽腫等の症状が見られます」。おやおや分離不安症?! なんてご大層な名前でしょう。これだけでもビックリなのに、食欲不振だなんて益々もって可愛そう…って、一番喰いつくのがやはりそこですか。これでは、犬を飼うのは諦めざるをえまい。
では他の小動物、ハムスターなんてどうでしょう。ハムスターはゲージの中に、回し車のような遊具を入れておいてやれば、独りで遊んでいるらしい。そして意外なことに、あんな小さな体ながら、なかなかに丈夫で飼い易いのだとか。トイレも砂を盛った容器を用意してやればそこにきちんとすると言うし、これは素晴らしいじゃありませんか。私にはもってこいですね。慣れてくれば飼い主の手から餌を食べるようにもなるらしい。頬にある袋に餌をいっぱい溜め込んだハムスターを想像するだけで、ウーン、可愛い!! よぉし決めた、ハムちゃんだ。
が、しかし「元来夜行性の動物なので、日中は巣箱の中で寝ていることが多い。この時間帯にケージの掃除などの日常管理を行うことは避けるようにする。朝、できるだけ早い時間に、すばやくケージ内の掃除を行う」。こんなお約束が飼育の心得にあったなんて。何が嫌って、この私にとって早起きくらい苦手なものはない。100個良いことがあっても「早起きをせねばならない」の一文で全てパァだ。さようならハムちゃん、君とは縁が無かったようです。
一日放っておいても分離不安症になることもなく、こちらも早起きしないで良いペット、そんな生き物がいるのだろうか? そんなことを頭の隅に置いたままネット・サーフィンをしていたら、見つけました。「社長日記」から「堀江貴文日記」に名称が変えられたブログに、アントクアリウムなる物が写真付きで出てました。蟻の巣を3次元的に観察できるインテリアと銘打ったもので、NASAのテクノロジーをベースに開発された特殊なジェルを透明なプラスチック製の箱に入れ、その中に入れた蟻の巣作りを観察するというものだ。渋谷でリカコとデートした時に、東急ハンズまで「買いたいものがある」と言って連れて行ってもらった。目指す売り場に着いた時のリカコの顔。「蟻を飼う?!」。口には出さねど(呆れ果てました)と顔にしっかり書いてある。やっぱりちょっと違うかな。
結局、蟻さんはやめて同じ棚に置かれていた卵型のガラスの小瓶と、まりもが2個入って850円也の小箱を買って帰った。箱を開けると袋に書かれた「まりもは生きている」という文字が目に飛び込んできた。おお生き物だぁ。やっとこ、分離不安症になることもなく、早朝にゲージの掃除も必要ない物言わぬペットにたどり着けたというわけだ。
どこかで、私のようにペット探しに苦慮している王子様がいらしたら、私が言葉を解するペットになってさしあげましょう。グルリとダイヤだらけの首輪を、贈って下さってもよくってよ。