紅い富士山

こんなに貴方だけを見つめてきたのに。

朝日を浴びた貴方も、夕日の中の貴方も、降る雪をまとったあなたも、ずっとずっと見つめてきたのに。どうして貴方は、私の前からそのお姿を消してしまおうとしているのですか…。

マンションを案内する不動産会社の青年が「窓から富士山が見えます」と説明した時、どうせ営業トークだろうと思った。けれど、なんと私の部屋からは想像より遥かに大きく、しっかりハッキリ富士山が見えたのだ。

白い富士山
消えた富士山

嬉しかったなぁ。やっぱり私はニッポンジン。朝に夕に、顔を出してくれる富士山を見ては写真を撮りまくった。冠雪があっては撮り、夕日の紅富士になっては撮り、今年の春は農鳥まで撮影することができた。

しかし、次々マンションが建設されている今、富士山を遮蔽するビルが建つのは時間の問題だった。今まで6年間、その姿を見ることができたことに感謝しなくてはいけないのだろうか。

富士山が顔を出してくれた日は、その神聖な姿に思わず手を合わせる素直な気持ちになったものだ。いくら振り返って懐かしんでも今は見ることのできない私の富士山に合掌。